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H22論文試験(商標)

1.設問(1)について
商標には、広告宣伝の機能だけでなく、その商標が付された商品等は同じ者から出所
されるという出所表示機能があり、長い使用による信用により、品質を保証する機能
もあり、本来ならば期間を設ける性質のものではない。
しかしながら、長い経済活動により使用しなくなった商標については、他に希望する
者に使用を認めるほうが産業の発達に寄与(1条)すると考えられる。そこで存続期間
を設けることで、商標権者の使用の意思を確認することとしたのである。
2.設問(2)の「1」について
(1)結論
侵害となることはある。
(2)理由
(a)存続期間
商標権の更新登録の申請は、存続期間の満了前6月から満了の日までの間にするのが
原則(20条2項)であるが、その期間が経過した後であっても、割増登録料を納付する
ことを条件に更新登録の申請をすることができる(20条3項、43条1項)。甲は存続期間
の経過後であるが、期間の経過後の6月以内に更新登録の申請を行っているので、
甲の商標権は存続期間の満了の時に更新したものとして扱われるため有効に存続して
いる(20条3項)。
(b)商標の類否
甲の標章「BCD」と乙の標章「bcd」は称呼が同一であるため類似し、指定商品も同一
であるため、両商標は類似する。商標権者は、指定商品について登録商標の使用をする
権利を占有(25条)し、禁止権の範囲(37条1号)も侵害となる。
したがって、上述のとおり、甲の商標権が有効に存続しているため、乙が商標を使用する
行為は甲の商標権の侵害となる。
3.設問(2)の「2」について
(1)結論
甲に不責事由が認められれば侵害となることはある。
(2)理由
甲は1999年7月30日に登録申請をしているが、商標権は存続期間の満了の時に更新した
ものとして扱われるため、2009年6月30日が存続期間の満了日となる。甲は、期間の満了の
6月以内である2009年12月31日までに更新登録の申請を行っていないので、甲の商標権は
存続期間の満了の時に遡って消滅したものとみなされている(20条4項)。しかし、
この期間内に更新登録の申請ができなかった理由が甲の責によるものでなかった場合には
その理由がなくなった日から14日以内で、期間の経過後6月以内に限り、申請ができる
(21条1項)。したがって、甲に不責事由が認められれば、存続期間は遡って更新されたと
みなされる(21条2項)。
この場合、更新登録の申請をすることができる期間の経過後である2010年1月1日から
更新した旨の登録がされる前までの期間については侵害とはならないが(22条)、その余
の期間については、上述のとおり両商標は類似しているので侵害となる。
4.設問(3)について
(1)事前の検討
丙の標章と甲の標章は同一であり、丙の指定商品のうち、「茶」については甲の登録商標と
同一であり、「菓子」については甲の登録防護標章と同一である。
(2)甲の登録商標が障害となる拒絶理由
(a)4条1項11号の拒絶理由(15条1号)
甲の登録商標は2009年6月30日に満了となっているが、更新登録の申請ができる期間内で
あるので商標権は消滅していない。よって、4条1項11号の拒絶理由(15条1号)が想定される。
(b)4条1項13号の拒絶理由(15条1号)
甲の登録商標が更新されなかった場合であっても、消滅した日から1年を経過するまでの
間は4条1項13号の拒絶理由(15条1号)が想定される。
(3)甲の登録防護標章が障害となる拒絶理由
丙の商標は、甲の登録防護標章と同一であり、同一の指定商品に使用するので4条1項12号
の拒絶理由(15条1号)が想定される。
以上


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